ジローのヨーロッパ考・3rd

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臨時: 高齢者へのワクチン接種、7月末完了?

2021年5月24日(Mon.)11:00UP  ;   PM(首相)の言う7月末接種完了は本当に可能なのだろうか。簡単に検証を試みた。大雑把な検討なので、以下の条件等を付した。

1)高齢者総数は3,600万人とし、2回の接種を終えるとしているので、合計で7,200万回の接種となる。PMの計算は、この数値をおよそ70日間で達成する為、単純に割り返したものではないか。で、およそ1日当たり100万回接種が出される。しかし、こうした計算によるものであるならば、これは誤りである。

2)2回目の接種は、1回目接種から3週間後とされており。これを加味する必要がある。つまり、7月末に2回目を終えるのであれば、1回目接種は7月10日には終える必要がある。そうすると、6月1日から開始したと仮定して、7月10日までの40日間で3,600万人に対する1回目を終える必要がある。つまり1日で90万人である。

一方で、2回目接種は、3週間後には開始する必要があるので、6月20日から開始となり、終わりは7月末日となる。この期間は40日間であり、やはり90万回・日のペースが必要となる。

ここで分かることは、6月1日〜6月20日は一日90万回。7月10日〜7月末日も一日90万回。だが、6月20日〜7月10日の中間期間は、1回目接種と2回目接種を並行して行うため、一日180万回の接種が必要となる。これは“不可能“な数値だ。従って、PMの言う言葉は机上の空論であり、全くシミュレーションも出来ていない非現実的な計画である。

3)仮に1日90万回接種が可能で、休日等全く無い状態で連続接種をした場合を検討してみよう。6月1日から20日までを1回目接種で走る。すると1,800万人の1回目接種が完了する。続いて、その人たちへの2回目接種に移行する。6月20日〜7月10日までの20日間で1,800万人の2回目接種が完了となる。ここまでで40日間を要している。

続いて、同じことを繰り返し、残る半分の1,800万人に対して40日間で2回接種を終える。つまり、7月10日から40日後に完了で、その日は8月20日となる。

しかし、1日90万回接種のペースで、40日間や80日間を休日なしで連続稼働させることが可能だろうか。医療従事者の交代要員が潤沢に揃っているならば可能だろうが、ただでさえ医療逼迫・医療崩壊している現状下では不可能と考えるべきだろう。

従って、せいぜい一日60〜70万回が限度と考える。また、週6日間稼働として休日を加味すると、上記シミュレーションの8月20日完了(80日間)ではなく、約120日間必要と試算できるので、4ヶ月間。つまり、6月、7月、8月、9月の4ヶ月間となる。

 

以上は、棒グラフやガントチャート的な目視化をすると分かり易いのだが、このブログでは表現困難なので、文章による説明になっている。また、上記の検討はいくつかの条件を想定しているので、現実とは多少ズレは生じるだろうが、凡そについては正しいシミュレーションになっていると思う。(例: 既に数%の高齢者には接種している事実もあろうが、それは無視した検討になっている。)

結論としては、1日100万回接種しても、3,600万人の高齢者に対する2回接種完了を7月末とするPMの“話“は空論であると言うことだ。そして、これを発表前に参謀たちが止められなかった体質も大問題であろう。このような判断力しかない政権に任せてはおけない。国民が殺される。そして、五輪開催への可否判断も、こうしたレベルの政治家には任すことは危険極まりないことだと思量する。   〜以上〜

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